2025年6月1日 主日礼拝

ヨシュア記22章21-23節

國分広士牧師

人は互いを理解し平和を実現したいと願う。しかし、実際は、互いを信用できず、戦いが絶えない。平和はどうしたら実現するのか?相互不信から、内戦になりかけたが、回避することができたイスラエルの事例から、学ぼう。

1.誓い

  • 民数記32章に、ルベン、ガド、マナセ半部族が、ヨルダン側対岸に所有地を得るために、モーセに誓った経緯が記されている。(民32:1-5,16-27)
  • カナンの地に入る時、ヨシュアは誓いを果たすように命じた。(ヨシュア1:12-16)
  • カナン攻略が進み、ヨシュアは、彼らが誓いを果たしたと認め、送り返した。    (ヨシュア22:1-6)

2.大きな祭壇

  • ヨルダン川を渡る地点で、ルベン、ガド、マナセ半部族は、ヨルダン川のそばに大きな祭壇を築いた。(22:10)
  • イスラエルはこれを信仰の逸脱行為と考え、戦おうとした。(22:11-12)
  • 申命記12:2-5には、主への礼拝は、主が選ばれる場所で行うよう命じられているので、勝手に自分たちで祭壇を築くのは、主の御命令に背く行為と思われたのだ。
  • イスラエルはまず代表団を送って、抗議をした。(22:13-20)

3.祭壇を築いた意図

  • 抗議を受けた二部族半は、祭壇を築いた意図を説明した。(22:21-29)
  • 主な動機は「恐れ」だった。ヨルダン川が仕切りとなり、時間が経つと、イスラエルが自分たちをよそ者扱いするようになるのではと恐れたのだ。立場が変われば態度も変わるという、「人間への不信感」が恐れを生んでいた。
  • そこで彼らは「記念」のために大きな祭壇を築いた。わざといけにえをささげる祭壇とは全く異なる型にして、記念であることを明らかにし、よそ者扱いといった問題が起きた時に、証拠となるようにしたのだ。
  • かつてイスラエルの祖ヤコブも、自分に主が現れて下さったことを記念して石の柱を立てた。(創28:18)大切な事実を後世に伝える目的で大きな構築物を作ることは、よくあることだった。

4.主はご存じ

  • 不和を避けるために彼らが作った祭壇は、かえって誤解を招いた。「相手も自分と同じように理解するはず」という思い込みは、しばしば当てが外れる。
  • また、彼らが作った祭壇は現存しない。物は不変ではないので、物で何かを「記念」しようという計画は、うまくいかないことが多い。
  • 結果として、イスラエルの平和は保たれた。それは人間的な努力の結果というより、「主がご存じ」だったからである。主が間を取り持って平和を保たれたのだ。
  • 記念は祭壇によってではなく、ヨシュア記に記されることによって成された。この出来事だけでなく、近代の考古学的発掘調査が進むまでは、聖書だけで伝えられた事柄がたくさんある。神のことばは残る。主は不変であり、主は忘れないからだ。

人間的努力によっては、相互理解は不十分である。しかし主は全てご存じ。人間同士の関係が平和であるためにも、主に間を取り持っていただくことを願おう。