2021年4月11日 主日礼拝

出エジプト 2章23~25節
國分広士牧師

1.彼らの叫び、彼らの嘆き

  • イスラエルはエジプトで増えて大きな民族になった。出エジプトの時に壮年男子が60万人いたので、その4倍くらいの人口。そこまで増える前にエジプト王はイスラエルを弱体化させるために労役で苦しめ、イスラエルは泣き叫んだ。
  • 労働だけでなく、人口制限のため、生まれた男子を捨てさせた時期もあった。ちょどその時期にモーセは生まれ、エジプトの王女に拾われ、王子として育った。成長したモーセはイスラエル人へのあわれみの故にエジプト人を殺してしまい、外国に逃亡した。モーセが主に召されるのは80才なので、1-2章のイスラエルの苦境は80年以上続いた。その間、神に祈り続けていたが、苦しみが改善されることはなかった。

2.神に届いた、思い起こされた、みこころに留められた

  • 80年祈り続けて、やっと神に祈りが届いたのだろうか。待ち続けていた者の視点からするとそう。この文章の詩的な表現からは、長年の祈りがかなえられた著者の感動を感じ取る。
  • しかし、みこころを行う神の視点からするとそうではない。この書の著者であるモーセ自身が、不思議な導きで命が救われた。それを神の計画だと理解するなら、実際の救出行動の始まる80年以上前から、神はすべて分かっておられた。
  • 神に叫ぶ祈りが始まる前からの計画だったことを思うと、その祈りをするようにも導かれていたことが見えてくる。イスラエルは叫んだ。嘆いた。神に届くところまで、その心はへりくだった。事態は何も変わらないと人が思っているときも、神の視点から見れば、計画は進んでいたのだ。

3.アブラハム、イサク、ヤコブとの契約

  • アブラハム、イサク、ヤコブ共通の約束としては、創世記12:1−3でアブラハムに与えられたの三つの約束「子孫が与えられる」「人生の歩みが守られる」「全人類の祝福となる」が、イサク(創26:2-5)、ヤコブ(創28:13-15)にも引き継がれていた。この約束が基本。
  • さらに、アブラハムとの契約として創世記15:13-14を見よう。
    「あなたの子孫は、自分たちのものでない地で寄留者となり、四百年の間、奴隷となって苦しめられる。しかし、彼らが奴隷として仕えるその国を、わたしはさばく。その後、彼らは多くの財産とともに、そこから出て来る。」
  • このことばの実現が出エジプト。この預言は、まだアブラハムにこどもがいなかった時に与えられていた。やがて与えられる子孫が、将来、奴隷として400年苦しむことまで預言されていた。
  • 神の計画は偉大。私たちはすぐ実現しないと祈りがきかれないと思いやすいが、神はそうは思っていない。今は祈り叫ぶべき時と定められているのかもしれない。ならば、そのタイミングで救出行動が始まらないのは必然。
  • 主イエスの苦しみも思い起こそう。主の苦しみは無意味ではなかった。神の偉大な計画を信じよう。叫びは神に届いたのだ。